「模試って、学校のテストと何が違うんですか」。教室長として保護者面談に立っていた18年間、中1・中2のご家庭からいちばん多く受けた質問がこれでした。
言葉としては知っていても、定期テストとの違いを説明できる方は多くありません。そして、その違いは「範囲が広い」ことだけではないのです。誰と比べられるのか、何が返ってくるのか、どこから出題されるのか。模試ではこの3つが同時に変わります。だから模試の結果は、定期テストの結果とは別の読み方をしなければいけません。「70点だったから今回はよかった」という読み方をした瞬間に、模試を受けた意味の大半が消えてしまいます。
この記事では、模試とは何かを定義したうえで、学校のテストとの違いを3つに分けて説明します。そのうえで、その違いが受験のどの場面で効いてくるのか、模試はどこで受けられるのかまでを扱います。判定や偏差値の細かい読み方、いつから何回受けるべきかは別の記事に譲り、ここでは「模試とは何か」に絞ります。
この記事のサマリー
- 模試とは:入試本番を想定して、塾や出版社などの外部団体が実施する学力テストです。「模擬試験」の略で、主催するのは学校ではありません
- 学校のテストとの違い:比べられる母集団・返ってくる指標・出題範囲の3点が変わります。範囲が広いことだけが違いではありません
- 返ってくるもの:点数ではなく偏差値と合格可能性判定です。志望校に対してA〜Eなどの判定が出ます
- 受ける目的:現在地を知る、学習計画を修正する、本番の形式に慣れる。この3つです
- 主催者の種類:塾・予備校/出版社・模試センター/通信教育事業者の3類型に分かれ、誰が受けられるかも類型ごとに違います
- 中学生の受け方:塾に通っていなくても申し込める公開模試があります。臨海セミナーの神奈川統一模試のように、塾外生の受験を受け付けている塾の模試もあります
目次
模試とは何か──入試本番を想定して外部団体が実施する学力テスト
模試とは、入試本番を想定して塾や出版社などの外部団体が実施する学力テストです。「模擬試験」を略した言い方で、実際の入試をまねた形式・範囲・時間配分で行われます。
いちばんの特徴は、主催するのが学校ではないことです。定期テストや実力テストは、通っている中学校の先生が作って、その学校の生徒だけが受けます。模試を作るのは学校の外にいる団体で、受けるのは同じ入試を目指している他校の生徒たちです。神奈川県の公立高校を受けるつもりの中学生が受ける模試であれば、同じ会場にいるのも、答案を採点されて一緒に並べられるのも、来年その入試を受ける予定の中学生たちということになります。
この「誰が作り、誰が受けているか」が、模試の性格をほぼ決めています。学校の先生が作るテストは、その学校で教えた範囲から、その学校の生徒の理解度を測るために作られます。外部団体が作る模試は、入試の出題傾向に合わせて、志望校に届くかどうかを測るために作られます。目的が違うので、返ってくるものも違います。
もう一点、中学生と保護者の方が気にされることを先に書いておきます。模試の結果は、学校の成績や内申点には反映されません。模試は学校の外で行われる任意のテストなので、何点を取っても、どの判定が出ても、通知表の評定とは無関係です。だからこそ、悪い結果が出ても失うものはなく、早い時期から受けて現在地を確かめる価値があります。
模試と学校のテストは何が違うのか──3つの違い
模試と学校の定期テストの違いは、比べられる母集団・返ってくる指標・出題範囲の3点です。範囲が広いことだけが違いだと思われがちですが、実際にはこの3つが同時に変わるため、結果の読み方そのものが変わります。
| 比較軸 | 学校の定期テスト | 模試 |
|---|---|---|
| 主催 | 通っている中学校 | 塾・予備校、出版社・模試センター、通信教育事業者などの外部団体 |
| 目的 | 授業で教えた範囲の定着度を測る | 入試に対する現在の到達度と合格可能性を測る |
| 母集団 | 同じ中学校の同学年(校内) | その入試を受ける予定の受験生(県内全体・全国など) |
| 出題範囲 | 直前の数週間で習った単元 | 入試で出る全範囲(既習分) |
| 返ってくるもの | 点数・校内順位・評定への反映 | 点数・偏差値・志望校の合格可能性判定 |
| 成績への反映 | 内申点に反映される | 反映されない |
| 受ける場所 | 学校の教室 | 会場(塾の教室・貸会場など)または自宅 |
表の下3行が、模試を初めて受けたご家庭が戸惑うところです。順番に見ていきます。
違い1:母集団が「校内」から「その入試を受ける全員」に変わる
定期テストで返ってくる順位は、同じ中学校の同学年の中での順位です。学年に150人いれば、150人の中の何番かがわかります。模試で返ってくる順位は、その模試を受けた受験生全体の中での順位です。県内特化の模試であれば数千人から数万人、全国規模の模試であればさらに大きな集団になります。
母集団が変わると、同じ位置にいても数字の見え方が変わります。学力上位の生徒が多い中学校で校内20位の生徒と、そうでない中学校で校内5位の生徒が、同じ模試を受けたら前者のほうが上に来ることは珍しくありません。校内順位は「その中学校の中でどこにいるか」しか教えてくれないからです。志望校に受かるかどうかを決めるのは、校内でどこにいるかではなく、その高校を受ける受験生全体の中でどこにいるかです。
ここが、模試を受けないと絶対にわからない部分です。中学校の中だけで自分の位置を測っていると、受験生全体の中での位置がわからないまま志望校を決めることになります。実際、面談で「学校では上位なので大丈夫だと思っていました」というお話は毎年ありました。逆に「うちの中学は全体のレベルが高いから、校内順位ほど悪くないはず」と考えていたご家庭が、模試を受けて認識を修正できたケースもあります。どちらの方向にもズレは起こります。
違い2:返ってくるのが点数ではなく偏差値と合格可能性判定
模試の成績表で中心になるのは、点数ではなく偏差値と合格可能性判定です。
偏差値は、受験者全体の中での位置を表す数字です。平均が50になるように計算されるので、点数が何点でも、全体の中での位置が同じなら偏差値も同じになります。テストが難しくて平均点が下がった回でも、逆に易しくて平均点が上がった回でも、位置さえ変わらなければ偏差値は変わりません。回ごとの難易度に左右されずに、自分の位置の推移を追えるようにするための数字だと考えてください。
合格可能性判定は、志望校として登録した高校に対して、今の成績ならどのくらいの可能性があるかを段階で示したものです。多くの模試で次の5段階が使われます。
A B C D E
Aに近いほど合格可能性が高く、Eに近いほど低いという読み方をします。ただし、この判定が何%の合格可能性を指すのか、どういう計算で出しているのかは模試によって異なります。同じ生徒が同じ時期に別の模試を受けて、片方でB判定、もう片方でC判定になることは普通に起こります。判定は絶対的な評価ではなく、その模試の母集団と基準にもとづく目安です。
判定の読み方をもう少し詳しく知りたい場合は、神奈川県の高校受験を前提にA〜E判定の読み方を扱った神奈川の高校受験で受けるべき模試についての解説もあわせてご覧ください。ここでは「点数ではなく、位置と可能性が返ってくる」という点だけ押さえていただければ十分です。
違い3:出題範囲が「習ったところ」から「入試の全範囲」に変わる
定期テストの範囲は、前回のテストから今回までに授業で進んだところです。範囲表が配られ、どの単元から出るかがわかったうえで対策します。模試の範囲は、入試で出る全範囲のうち、その時点までに学習が終わっている部分です。中3の秋以降の模試であれば、中1の内容から中3の内容まで、どこから出てもおかしくありません。
この違いは、対策の立て方を根本から変えます。定期テストは「今回の範囲を集中的に固める」という短期の勉強で点が取れますが、模試はそれが通用しません。1年半前に習った単元を忘れていれば、そこで失点します。つまり模試は、直前の努力ではなく、それまでに積み上げてきたものの総量を測るテストだということです。
だから、模試で点が取れなかったときに「今回は勉強が足りなかった」と結論づけるのは、多くの場合正確ではありません。足りなかったのは直前の数日ではなく、どこかの単元の定着です。成績表で単元ごとの正答率が出るのは、そこを特定するためです。定期テストで80点台を安定して取れている生徒が、模試では偏差値50を下回るということは実際に起こります。これは学力が急に落ちたのではなく、測っているものが違うだけです。
模試を受ける意味──3つの違いが効いてくる3つの場面
模試を受ける意味は、志望校を決めるとき、学習計画を修正するとき、本番の形式に慣れるときの3つの場面に現れます。前の章で見た3つの違いが、それぞれの場面で効いてきます。
場面1:志望校を決めるとき
志望校を決めるときに必要なのは、「自分がその高校を受ける受験生の中でどのあたりにいるか」という情報です。これは母集団が校内に限られている定期テストでは絶対に出てきません。模試で志望校を登録して判定を受け取ることで、はじめて距離が数字になります。
ただし、模試の偏差値だけで志望校が決まるわけではありません。高校入試では学力検査の点数だけでなく内申点も合否に関わり、その比率は高校ごとに違います。偏差値が下の高校のほうが、必要な内申は重いということも実際に起こります。神奈川県の公立上位校を横に並べて、偏差値の順位と必要な内申の順位が一致しない構造を計算で確かめた神奈川公立上位5校の偏差値と対策の比較を見ると、この点がはっきりします。
つまり模試の判定は、志望校選びの材料のひとつであって、答えそのものではありません。判定と内申と学校ごとの選抜方法を並べて、はじめて「どこを受けるか」の判断ができます。
場面2:学習計画を修正するとき
模試の成績表には、単元ごとの正答率が出ます。ここが定期テストの結果と決定的に違うところで、入試の全範囲を横断して、どこが弱いかを特定できます。定期テストは範囲が狭いので、1年前に習った単元が抜けていても表面化しません。模試はそれを毎回洗い出してくれます。
使い方は単純です。正答率の低い単元を見つけ、次の模試までにそこを埋める。それだけです。ただ、この単純な作業を続けられるかどうかで結果は大きく変わります。返却された成績表を見て一喜一憂して終わってしまうと、次の模試でも同じ単元を落とします。
受ける回数と時期については、学年ごとに考え方が変わります。中1・中2で年に数回受けて位置を確かめるのと、中3で毎月のように受けて志望校を絞り込むのとでは、目的も使い方も違います。この点は学年別に整理した記事で扱います。
場面3:本番の形式に慣れるとき
3つ目は、入試本番と同じ形式・時間配分を体験しておくことです。会場受験の模試では、知らない場所で、知らない受験生に囲まれて、決められた時間で解くという状況が再現されます。
これは軽視されがちですが、実際には差が出るところです。時間配分を失敗して大問を丸ごと落とす、緊張して最初の問題で手が止まる、マーク欄をずらして記入する。こうしたことは、家で問題集を解いているだけでは起こりません。本番で初めて起こると取り返しがつかないので、模試のうちに一度経験しておく価値があります。
模試はどこで受けられるか──主催者は3類型
中学生が受けられる模試は、主催者で見ると塾・予備校、出版社・模試センター、通信教育事業者の3類型に分かれます。どこが主催しているかによって、全国規模なのか都道府県単位なのか、そして誰が受けられるのかが変わります。
この違いは、判定の精度に直結します。志望校が神奈川県の公立高校なら、神奈川県の入試制度に合わせて判定を出す模試のほうが、全国一律の基準で判定する模試より実態に近い数字が返ってきます。逆に、難関国私立を目指すのであれば、全国規模で上位層が集まる模試のほうが自分の位置を正確に測れます。模試を選ぶというのは、どの母集団の中で自分を測るかを選ぶということです。
なお、ここで扱うのは高校受験に向けた中学生の模試です。中学受験を目指す小学生が受ける模試は、主催者も判定の仕組みも別の体系になっているため、小学生の模試を2つの系統に分けて整理した記事で扱います。
塾・予備校が主催する公開模試
塾や予備校が自社で作成し、実施する模試です。通っている塾の生徒が受けるものと、外部の生徒にも開放しているものがあります。
この類型の特徴は、その塾が持っている入試データと指導のノウハウが問題や判定に反映されていることです。地域密着で展開している塾なら、その都道府県の入試形式に合わせた模試を作りますし、全国展開の塾や予備校なら全国規模の母集団を集めます。中学生向けでは、駿台中学生テストのように難関校志望者向けのハイレベルな全国模試もあれば、県内の公立入試に特化した模試もあります。
塾に通っていない中学生にとって重要なのは、外部生の受験を受け付けているかどうかです。受け付けている場合、塾生と同じ問題・同じ母集団で判定を受けられるので、通塾していなくても質の高い判定が手に入ります。臨海セミナーの神奈川統一模試のように、塾外生の受験を受け付けている例があります。
出版社・模試センターが主催する公開模試
教材出版社や、模試の運営を専門とする会社が主催する模試です。塾に属していないため、特定の塾の生徒に偏らない母集団が集まりやすいという特徴があります。
この類型は、都道府県単位で展開されているものが多くを占めます。首都圏のVもぎ・Wもぎ、関西の五ツ木のテスト会などが代表例で、いずれもその地域の公立・私立入試の傾向に合わせた出題と判定を行っています。地域の受験生が広く集まるため母集団が大きくなりやすく、県内での位置を測るには適しています。
申し込みは個人でできるものが基本で、塾に通っているかどうかは問われません。会場受験のほかに自宅受験を選べるものもあります。どちらを選ぶかで判定の出方が変わるのかは、会場模試と自宅模試の違いを扱った記事で説明しています。
通信教育事業者が主催する模試
進研ゼミやZ会のような通信教育事業者が、自社の講座の一部として実施する模試です。3類型の中で、この類型だけは性格が異なります。
最大の違いは、受講者向けに提供されるものが中心だという点です。たとえば進研ゼミ中学講座の合格可能性判定模試は受講者用の教材として位置づけられており、中2の1月と中3の4月・8月・11月に実施されます。受講していれば追加の申し込みなしに受けられる一方、受講していない中学生が単独で申し込むという使い方は想定されていません。
受験形式は自宅受験が中心です。会場に行かずに自分のペースで取り組めるので負担は軽いのですが、その分、本番の緊張感や時間管理を体験する機会にはなりません。母集団もその通信教育の受講者に限られます。現在地の把握には使えますが、志望校の合否を判断する主軸の模試としては、会場受験の公開模試と組み合わせて考えるのが現実的です。
学校で受けるテストとの線引き
中学校で全員が受ける実力テストや、自治体が実施する学力調査は、模試とは区別して考えます。これらは学校や自治体が学習の定着状況を把握するために行うもので、志望校を登録して合格可能性判定を受け取る仕組みにはなっていません。母集団もその学校・その自治体に限られます。現在地の確認には役立ちますが、志望校との距離を測る目的では模試の代わりにはなりません。
模試を受けたあとをどう設計するか──臨海セミナーの模試体系
模試は受けて終わりにすると効果が半減します。返却された結果をどう次につなげるかまでを含めて設計している例として、神奈川発の大手である臨海セミナーの模試体系を見てみます。
臨海セミナーの神奈川統一模試は、中1の3月から中3の12月まで継続して受けられる神奈川特化の模試です。特徴は判定の出し方にあります。成績と模試の結果を神奈川県の公立高校選抜方法の計算式に当てはめ、高校ごとに設定された内申点と学力検査の比率にもとづいて志望校判定を行います。神奈川県の入試は学校ごとに比率が違うため、全国一律の基準で判定する模試よりも、実際の合否の構造に近い数字が返ってくることになります。特色検査も実施されます。
中3の直前期には、公立入試型の臨海模試が12月・1月に行われます。神奈川では特色検査模試も実施されるため、志望校が特色検査実施校であっても同じ体系の中で対策を完結させられます。中1から中3の直前期までを一つの流れで通せる設計だということです。
もう一つの特徴は、結果の活用が仕組みとして用意されていることです。進路指導は「入試情報センター」という専門部署に集約された入試情報にもとづいて行われ、高校進学資料の編集や、公立・国私立の学校情報や高校ごとの合格ラインの提供が行われています。前の章で書いたとおり、模試の価値は返却後の使い方で決まります。個人でその往復を回すのは負担が大きいので、塾の側にその仕組みがあるかどうかは確認する価値があります。
そしてこれらの模試は、臨海セミナーに通っていない中学生も受験できます。塾に通わずに高校受験に向かうご家庭にとって、県内の入試制度に合わせた判定を受け取れる選択肢のひとつになります。
ただし、模試の日程・会場・対象学年は年度や地域によって変わります。受験を検討する際は、必ず最新の実施要項を公式サイトで確認してください。また、どの模試を使う場合でも判定は指標の一つであり、1回の結果で志望校を決めるものではありません。

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受験・学校選び ── 元教室長が教える後悔しない塾の決め方
模試のデータを返却後にどう扱うかという体制は、塾を見極めるときの判断材料の一つとして書籍でも一章を割いて扱いました。体験や面談の場で「模試の返却後に何をしてくれますか」と聞いてみると、その塾が模試をどう位置づけているかがわかります。
他塾の模試はどうか──湘南ゼミナール・ステップ
神奈川県内で高校受験を扱う塾は臨海セミナーだけではありません。模試の位置づけは塾によって異なるため、代表的な2社の考え方を挙げておきます。
湘南ゼミナールは神奈川県の公立高校入試に特化したカリキュラムを持つ集団指導塾です。授業での理解、宿題での定着、小テストでの計測を繰り返しながら、定期テストと模試を経て入試につなげるという流れをカリキュラムの中に組み込んでいます。模試を単体のイベントとしてではなく、日々の学習サイクルの計測点として位置づける考え方です。
ステップは神奈川県内に絞って教室を展開する集団指導塾で、塾生向けの情報紙やオリジナルの入試情報冊子、志望校別の進学ガイダンス、定期的な保護者面談といった情報提供の仕組みを持っています。模試の結果を進路の判断につなげる部分を、面談とガイダンスで支える形です。
外部への開き方は2社で異なります。ステップのオープン模試と特色検査対策模試は、2026年9月時点のステップの模試案内に一般生の受験料が塾生とは別に設定されており、塾生以外も申し込めます。申し込みは各スクールの窓口で受け付ける形です。湘南ゼミナールについては、通年で外部の中学生が単独で申し込める公開模試の案内は、湘南ゼミナールの模試・イベント情報で確認できる範囲では見当たりませんでした。塾に通っていない状態で判定を受け取りたい場合は、外部生の受験を受け付けている塾の模試か、出版社・模試センターが主催する公開模試が現実的な選択肢になります。各塾の模試を受けられるかどうかは、年度によって扱いが変わることもあるため、直接問い合わせて確認してください。
よくある質問(FAQ)
模試とは、入試本番を想定して塾や出版社などの外部団体が実施する学力テストです。「模擬試験」の略で、実際の入試に近い形式・範囲・時間配分で行われます。主催するのが学校ではないため、同じ入試を目指す他校の受験生と一緒に採点され、志望校に対する合格可能性判定が返ってきます。模試の結果は内申点には反映されません。
違いは比べられる母集団・返ってくる指標・出題範囲の3点です。定期テストは校内の同学年が母集団で、点数と校内順位が返り、範囲は直前に習った単元に限られます。模試はその入試を受ける受験生全体が母集団で、偏差値と合格可能性判定が返り、範囲は入試の全範囲に広がります。範囲が広いことだけが違いではありません。
模試は主催者によって受けられる場所と申し込み方法が変わります。塾・予備校が主催する公開模試は塾の教室や貸会場で行われ、外部生の受験を受け付けているものがあります。出版社・模試センターが主催する公開模試は個人で申し込め、会場受験と自宅受験を選べるものもあります。通信教育事業者の模試は受講者向けで、自宅受験が中心です。
受けるべき模試は志望校の地域と学年で変わります。公立高校を志望するなら、その都道府県の入試形式に合わせた模試を主軸にするのが基本です。時期については、中1・中2は年に数回受けて位置を確かめる段階、中3は志望校を絞り込むために回数を増やす段階と考えます。中1から受けられる模試もあるため、早い段階で一度受けておくと基準ができます。
模試は入試本番を想定して作られますが、難易度は模試によって異なります。難関校志望者向けに作られた模試は本番より難しく設定されていることがあり、県内の公立入試に合わせた模試は本番に近い難易度で作られます。どちらが難しいかは受ける模試次第です。点数そのものより、その模試の母集団の中でどの位置にいるかを見るのが正しい読み方です。
受けられます。出版社・模試センターが主催する公開模試は個人で申し込めるのが基本です。塾が主催する模試でも、外部生の受験を受け付けているものがあります。臨海セミナーの神奈川統一模試のように塾外生も受験できる例があり、通塾していなくても県内の入試制度に合わせた判定を受け取れます。申し込み方法と対象は年度によって変わるため、公式サイトで確認してください。
まとめ
模試とは、入試本番を想定して塾や出版社などの外部団体が実施する学力テストです。学校の定期テストとの違いは、比べられる母集団が「その入試を受ける全員」に変わること、返ってくるものが点数ではなく偏差値と合格可能性判定になること、出題範囲が入試の全範囲に広がることの3点にあります。
この3つが変わるからこそ、模試には定期テストでは得られない情報が返ってきます。志望校を決めるときには受験生全体の中での位置がわかり、学習計画を修正するときには入試の全範囲を横断した弱点がわかり、本番形式に慣れるという意味では会場受験そのものが練習になります。
模試の主催者は、塾・予備校、出版社・模試センター、通信教育事業者の3類型です。全国規模か都道府県単位か、誰が受けられるかが類型ごとに違うため、志望校の地域と自分の状況に合わせて選ぶことになります。塾に通っていなくても受けられる模試はあります。臨海セミナーの神奈川統一模試のように、中1の3月から中3の12月まで神奈川県の選抜方法にもとづく判定を受けられ、塾外生の受験も受け付けている模試もあります。返却後の面談や入試情報センターによる進路指導まで含めて、模試を受けたあとの設計が用意されている点も、模試を選ぶときの判断材料になります。
最後に一つだけ。模試は受けた時点では何も変えません。成績表が返ってきたあと、弱かった単元に手をつけるところまでが模試です。判定の記号だけを見て引き出しにしまうか、単元別正答率を見て次の2週間の計画を立てるか。その差が、次の模試の結果になって返ってきます。


元教室長の視点
藤原 誠一|日本進学教育研究機構認定 高校受験指導アドバイザー
教室長時代、模試の結果で成績が伸びた生徒と伸び悩んだ生徒を分けていたのは、点数でも判定でもなく、返却後の2週間の使い方でした。伸びる生徒は成績表の単元別正答率を見て、その週のうちに弱い単元の演習を始めます。伸び悩む生徒は判定の記号だけを見て、成績表を机の引き出しにしまいます。模試は受けた時点では何も変えません。返却されたあとに何をするかで、次の模試の結果が決まります。