高校受験の模試はいつ受ける?中3の春・夏秋・冬で変わる3つの役割と回数の目安

高校受験の模試を時期別に扱う記事のアイキャッチ。中3の1年を春・夏秋・冬の3区間に分け、それぞれの回で模試の役割と判定の使い方が変わることを示した円環の図を、高校受験指導アドバイザー・藤原 誠一が解説

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答え高校受験の模試は、中3の4月から6月ごろに1回目を受け、そこから入試の直前期まで続けて受けるのが一般的です。ただし1年を通して同じ受け方をするわけではありません。春の回は以降の回と比べるための基準をつくる回、夏から秋の回は判定を志望校の判断材料として使い始める回、冬の回は判定を追うより本番の形式に体を合わせる回で、同じ模試でも見る場所が変わります。回数については年2回から毎月まで幅のある目安が出回っていますが、これは前提にしている模試が違うためで、実際の回数は主軸に決めた模試の年間日程で決まります。

「模試って、いつから受け始めればいいんでしょうか」。中3のご家庭との面談で、4月から5月にかけて必ず出てくる質問がこれでした。そして調べたご家庭ほど、次にこうおっしゃいます。「調べたら、年2回でいいと書いてあるところと、毎月受けろと書いてあるところがあって、どっちなんですか」と。

どちらも間違っていません。書いている側が前提にしている模試が違うだけです。年に2回しか実施されない模試を前提にすれば年2回になりますし、毎月実施される模試を主軸に置けば毎月になります。回数だけを取り出して比べても答えは出ません。同じように、「いつから」も1回目の話なのか、判定を使い始める時期の話なのかで、返ってくる答えが変わります。

この記事では、高校受験の模試を中3の1年間という時間軸で整理します。1回目をいつ置くのか、春・夏〜秋・冬でその回の役割がどう変わるのか、返ってきた判定をいつから志望校選びに使ってよいのか、そして回数はそもそも何で決まるのか。どの模試を選ぶかという話や、A〜E判定の意味そのものは別の記事に譲り、ここでは時期に絞ります。

この記事のサマリー

  • いつから受けるか:中3の4月から6月ごろに1回目を受けるのが一般的です。地域や模試によって開始時期は前後します
  • 春(4〜6月)の役割:判定を見る回ではなく、以降の回と比べるための基準をつくる回です。この時期の判定はまだ動きます
  • 夏〜秋(8〜10月)の役割:判定を志望校の判断材料として使い始める時期です。受験者が増え、出題も入試の全範囲に近づきます
  • 冬(11〜1月)の役割:判定を上げにいく時期ではなく、本番の形式と時間配分に体を合わせる時期です
  • 回数の決まり方:出回っている目安は年2回から毎月まで幅があります。前提の模試が違うためで、実際の回数は主軸に決めた模試の年間日程で決まります
  • 中3から始める場合:直前期に本番形式の模試が別に用意されている体系があります。臨海セミナーは神奈川統一模試が中3の12月まで、公立入試型の臨海模試が12月・1月にあり、塾外生も受験できます

高校受験の模試はいつから受けるか──中3の1回目は4〜6月に置く

高校受験の模試は、中3の4月から6月ごろに1回目を受けるのが一般的です。多くの模試がこの時期に中3対象の第1回を設定しており、地域や主催者によって前後はしますが、春から本格的に始まると考えておけば大きくずれません。

この時期に1回目を置く理由は、判定を早く知るためではありません。あとの回と比べるための基準点を、先につくっておくためです。模試の数字は1回分だけでは意味を持ちません。偏差値55という数字は、前回が50なら上がっており、前回が60なら下がっているということで、単独では上がったとも下がったとも言えないからです。春に1回受けておけば、夏の回が2つ目の点になり、そこで初めて線が引けます。

逆に、1回目を夏まで先送りすると、夏の回が基準点になります。すると線が引けるのは秋以降になり、志望校を絞り込む時期に手元にある推移が1本分短くなります。春の回は判定そのものより、この位置づけのために受ける回だと考えてください。

もう一つ、実務的な理由があります。模試の成績表は情報量が多く、初めて見ると読み方に迷います。偏差値、志望校ごとの判定、単元別の正答率、順位。これらがどこに書かれていて何を意味するのかを一度確認しておかないと、次の回も同じところでつまずきます。この読み方を覚えるための1回を、判定が重要になる秋に使ってしまうのはもったいないということです。

なお、中1・中2の段階からどう受けておくとよいのかは、学年ごとに考え方が変わります。この記事は中3を扱いますが、下の学年からの組み立て方は中学生の模試を学年別に整理した記事にまとめています。

この記事が扱う「高校受験の模試」

ここで扱うのは、中学生が高校入試に向けて受ける模試です。大学入試に向けて高校生が受ける模試とは、対象学年も判定の出し方も別のものになります。検索結果に両方が並ぶことがあるため、時期や回数の情報を読むときは対象学年を確認してください。なお、中学校で全員が受ける実力テストや自治体の学力調査は、志望校を登録して合格可能性判定を受け取る仕組みではないため、この記事のいう模試には含めていません。


中3の1年で模試の役割は3つに分かれる──春・夏〜秋・冬

中3の模試は、1年を通して同じ受け方をするわけではありません。実施される時期によって、その回で何を見るのか、返ってきた判定をどう扱うのかが変わります。大きく分けると春・夏〜秋・冬の3つで、境目は夏休みと11月あたりに来ます。まず全体像を整理します。

中3の模試──時期ごとの役割と判定の扱い
時期その回の役割判定の扱い受け方
春(4〜6月)あとの回と比べる基準点をつくる参考にとどめ、志望校の判断には使わない対策をせず、今の状態のまま受ける
夏〜秋(8〜10月)判定を志望校の判断材料として使い始める複数回分を並べて推移で読む主軸に決めた模試の実施回を続けて受ける
冬(11〜1月)本番の形式と時間配分に体を合わせる判定より、解く順番と時間の使い方を見る入試本番に近い形式の回を選ぶ

時期によって大きく動くのは、表の中央の2列です。ここを順に見ていきます。


春(4〜6月)──基準点をつくる回

春の回で受け取る判定は、参考程度に見ておけば足ります。この時期の判定が低くても志望校を下げる必要はありませんし、高く出ても安心できる材料にはなりません。理由は次の章で詳しく扱いますが、春はまだ模試を受けている人が少なく、中3の学習内容も終わっていないためです。

ではこの回で何を得るのか。ひとつは基準点、もうひとつは成績表の読み方です。基準点は前述のとおりで、この1回があるかないかで、秋に手元にある推移の長さが変わります。成績表の読み方については、返却されたその日に一度、家庭で一緒に開いてみることをおすすめします。どこに何が書いてあるかを把握しておけば、秋以降の回で必要な情報だけを素早く取り出せるようになります。

春の模試に、特別な対策をして臨む必要はありません。範囲を復習してから受けようと考えると、受ける時期そのものを逃します。それに、対策をした回だけ数字が上振れすると、基準点として使いにくくなります。今の状態のまま受けたほうが、基準としては正確です。

部活動を続けている場合、春の時期は大会と重なることがあります。日程が合わない回を無理に押し込む必要はありませんが、6月までに1回も受けられないと、次の機会は夏になります。代替日程や自宅受験が用意されている模試もあるため、申し込みの段階で選択肢を確認しておくと動きやすくなります。


夏〜秋(8〜10月)──判定を判断材料として使い始める回

夏休み明けから秋にかけての回が、中3の模試のなかで最も重要な期間です。この時期から、返ってきた判定を志望校の判断材料として扱えるようになります。

変わるのは、模試の側の条件です。受験者が増えて母集団が入試を受ける層に近づき、出題される範囲も入試の全範囲に近づきます。同じ模試を受けていても、春の回と秋の回では数字の意味が違うということです。この理由は次の章で分解します。

この期間の受け方で大事なのは、実施される回を飛ばさずに続けて受けることです。判定は1回分では判断に使えません。3回分、4回分が並んで、初めて「この高校に対してはおおむねこのあたり」という言い方ができるようになります。夏に1回受けて秋を飛ばし、冬にもう1回、という受け方では、間が空きすぎて推移として読めません。

もうひとつ、この期間は模試の結果が学習内容の修正に直結します。単元別の正答率を見れば、どの分野が入試レベルで通用していないかがはっきり出ます。秋の時点で見つかった穴は、まだ埋める時間があります。冬に入ってから同じ穴が見つかっても、対応できる範囲は狭くなります。判定を見る目的と、弱点を見つける目的が両立するのがこの期間です。


冬(11〜1月)──本番の形式に合わせる回

11月以降の模試は、それまでとは役割が変わります。この時期に判定を大きく動かすのは難しく、また動かすことが目的でもありません。見るのは判定ではなく、解く順番と時間の使い方です。

入試本番では、解ける問題を確実に取り切ることが得点を決めます。どの大問から手をつけるか、時間が足りなくなったときにどこを捨てるか、見直しに何分残すか。こうした運び方は、本番と同じ制限時間で通しで解く経験を重ねないと身につきません。冬の模試は、その練習の場として使います。

この時期は、入試本番に近い形式の回を選ぶことにも意味があります。志望校の入試が県独自の出題形式であれば、その形式に合わせて作られた回を受けたほうが、時間配分の練習として実戦的です。判定を積み上げる時期は秋までで一区切りになり、冬は形式に合わせる時期だと切り替えてください。

ただし、この時期の判定をまったく見ないという意味ではありません。秋までに積み上げた推移の延長として、大きく外れる回がないかを確認します。急に落ちた回があれば、実力が下がったというより、その回の形式や時間配分に対応できなかった可能性を先に疑います。原因が運び方にあるなら、本番までに直せます。

藤原 誠一

元教室長の視点

藤原 誠一|日本進学教育研究機構認定 高校受験指導アドバイザー

面談で一番多かったのは、春の判定を見て志望校を下げるご相談でした。4月や5月にE判定が出ると、ご家庭は本気で心配されます。ただ、この時期の判定で志望校を動かした生徒が、秋に判定が上がってもう一度戻す、という往復を何度も見てきました。春の判定は動くものだと最初に伝えておくと、この往復が起こりません。判定を見るのは夏からで十分です。


同じ模試でも判定の重みは時期で変わる──夏〜秋から判断材料になる理由

同じ模試を受けていても、春に出た判定と秋に出た判定では、信じてよい度合いが違います。これは受ける側の実力の問題ではなく、模試の側の条件が時期とともに変わるためです。何が変わるのかを2つに分けて見ていきます。


受験者の数が増え、母集団が入試を受ける層に近づく

模試の偏差値と判定は、その回を受けた人たちの中での位置から計算されます。したがって、誰が受けているかが変われば、同じ答案でも出てくる数字が変わります。

春の回は、受験者がまだ少ない状態です。この時期に模試を受けるのは、早い段階から受験を意識している層が中心になります。その中での位置は、実際の入試で競う相手全体の中での位置とはずれます。夏から秋にかけて受験者は大きく増え、母集団はその年に高校入試を受ける層そのものに近づいていきます。秋の偏差値のほうが、本番に近い相手と比べた数字だということです。

志望校の判定についても同じことが起きます。判定は、その高校を志望校として書いた人の中での位置から出されます。春の時点では志望校を決めきれていない生徒が多く、書かれた志望校も仮のものが混ざります。秋になると志望校が固まってくるため、その高校を実際に受ける層の顔ぶれに近づきます。春の判定が動きやすいのは、比べる相手がまだ確定していないからです。

偏差値や合格可能性判定がどのように出される数字なのか、その基本的な仕組みについては模試とは何かを扱った記事で整理しています。


未習範囲が減り、実力を測れる部分が増える

もう一つ変わるのが、出題できる範囲です。高校入試は中学3年間の全範囲から出題されますが、春の時点では中3の学習内容がまだ始まったばかりです。模試の側も、未習の単元を大量に出すわけにはいきません。

そのため春の回は、中1・中2の内容を中心とした出題になります。ここで良い数字が出ても、それは中3の内容を含めた実力を測ったものではありません。逆に、中3の内容が得意になるタイプの生徒は、春の数字が実力より低く出ることがあります。

秋以降になると、中3の学習内容の大半が済み、模試の出題範囲も入試の全範囲に近づきます。このとき初めて、本番と同じ土俵で測った数字になります。春から秋にかけて偏差値が上がる生徒が多いのは、実力が伸びただけでなく、測れる部分が増えて実力が数字に反映されるようになった分も含まれています。

この2つが重なるため、判定の重みは春から秋にかけて段階的に上がります。同じ模試の同じ判定でも、いつ出たものかを確認せずに並べると、判断を誤ります。


判定を信じてよい回はどこからか

実務的な目安として、志望校の判断に判定を使い始めるのは夏休み明けの回からです。それより前の回は、基準点として推移の中に置いておき、単独では判断材料にしません。

ただし、夏の1回だけで決めることもしません。夏から秋にかけての回を続けて受けて、複数回分の判定が並んだ状態で読みます。3回分が同じあたりに収まっていれば、その水準が実力に近いと考えてよい段階です。ばらついている場合は、まだ判断を保留して回数を重ねます。

志望校を最終的に決める場面では、直近1回の判定ではなく、秋以降に積み上がった数本の推移を見ます。上がり続けているのか、横ばいなのか、下がっているのか。この向きが、同じ判定でも意味を変えます。C判定が続いている状態と、AからCへ落ちてきた状態と、EからCへ上がってきた状態では、選ぶべき判断が違うからです。

なお、判定そのものが何を意味するのか、A〜Eがどの程度の合格可能性を指すのかについては、判定の読み方として別に扱う主題です。ここでは「いつの回の判定なら判断に使えるか」に絞っています。


「月1回」は誰にでも当てはまるのか──回数の目安が食い違う理由

中3の模試の回数について調べると、出てくる数字が情報源ごとに違います。年2回で足りるとするもの、4月から12月までに複数回とするもの、夏以降は月1回とするもの、秋以降は毎月とするもの。少ないほうと多いほうで5倍近い開きがあります。

どれが正しいかを決める前に、なぜ食い違うのかを見ておく必要があります。数字が違うのは、書き手が前提にしている模試が違うからです。


目安の数字が食い違うのは前提の模試が違うため

模試は、主催者によって年間の実施回数がまったく違います。年に2回しか実施されない模試もあれば、中3向けに年間10回近く実施される模試もあります。

年2回と書いている情報源は、実施回数の少ない模試を前提にしているか、あるいは「最低限これだけは」という下限を示しています。毎月と書いている情報源は、実施回数の多い模試を主軸に置いた前提です。どちらも自分が前提にした模試の日程を、そのまま回数として書いているだけです。

したがって、回数の数字だけを取り出して比べても意味がありません。「月1回が正しいのか、年2回が正しいのか」という問いの立て方そのものが、答えの出ない形になっています。問うべきなのは、自分が主軸に置く模試が年に何回実施されるのか、です。

もう一点、時期による違いも数字の幅を生んでいます。春は実施回の間隔が空き、秋から直前期にかけて回数が増えるのが一般的な組み方です。「月1回」という表現は、この密度が上がった時期だけを切り取ったものである場合があります。年間を通して毎月ある、という意味とは限りません。


回数は模試の年間日程で決まる

実務的な順序は、回数を決めてから模試を探すのではなく、先に主軸となる模試を1つ決めて、その年間日程をそのまま自分の受験計画にするという形です。

主軸を1つに決める理由は、推移を読むためです。回ごとに違う模試を受けると、母集団が変わるため偏差値も判定も比べられません。数字は増えても、線が引けない状態になります。主軸を決めて実施回を続けて受けることで、初めて推移として読めるデータになります。

そのうえで、実施回のうち受けられないものが出た場合は、代替日程があるかを確認します。部活動や学校行事と重なることは珍しくありませんが、間を飛ばすと推移が途切れます。回数を増やすことより、間を飛ばさないことのほうが効きます。

では主軸に何を置くのか。判断の軸になるのは志望校の地域です。その都道府県の入試形式に合わせて作られた模試であれば、返ってくる判定が本番の選抜の仕組みに近くなります。神奈川県の場合にどの模試が候補になり、種類ごとにどう使い分けるのかは、神奈川の高校受験で受ける模試を扱った記事で扱っています。

藤原 誠一

元教室長の視点

藤原 誠一|日本進学教育研究機構認定 高校受験指導アドバイザー

「たくさん受けたほうがいいですよね」と聞かれるたびに、年間の日程表を一緒に見ることにしていました。受ける回数は自分で決めているようで、実際には模試の側が決めています。決められるのは、実施される回のうち何回を飛ばすか、それだけです。飛ばした回はあとから埋められません。回数を増やす工夫より、申し込みの段階で年間の日程を家庭のカレンダーに写しておくほうが、結果として受けられる回数が増えます。

回数について押さえておくこと

出回っている回数の目安は、書き手が前提にした模試の年間実施回数を反映したものです。自分の回数は、主軸に決めた模試が年に何回実施されるかで決まります。実施日程・対象学年・申し込み方法は模試ごとに異なり、年度によっても変わるため、必ず各模試の公式サイトで最新の実施要項を確認してください。


判定を積める期間には終わりがある──臨海セミナーの模試体系

ここまで、判定が判断材料になるのは夏から秋にかけての回で、冬は形式に合わせる時期だと書いてきました。この切り替えを裏返すと、判定を積み上げられる期間には終わりがあるということになります。志望校を決める材料は、その期限までに集まっている分だけです。この構造が体系として組まれている例として、神奈川発の大手である臨海セミナーの模試体系を見てみます。

臨海セミナーの神奈川統一模試は、神奈川県の入試に対応した模試で、中3では12月まで実施されます。つまり判定を積み上げる期間は12月で区切られ、それ以降は新しい判定が増えません。志望校の最終的な判断は、そこまでに集めた推移で行うことになります。この期限が最初から示されていると、いつまでに何回分そろえておくべきかを逆算できます。

そして中3の直前期には、公立入試型の臨海模試が12月・1月に行われます。判定を取る模試と、本番形式で仕上げる模試が別に用意されている構成です。この記事で書いてきた「秋までは判定、冬は形式」という時期による役割の切り替えが、受験者の側で組み替えなくても体系の中で起こる形になっています。神奈川では特色検査を実施する高校があるため、その形式に対応した模試も同じ体系の中に用意されています。

判定の出し方にも特徴があります。成績と模試の結果を神奈川県の公立高校選抜方法の計算式に当てはめて志望校判定を行うため、全国一律の基準で出される判定より、実際の合否の構造に近い数字が返ってきます。この記事で書いた「秋以降の判定を判断材料にする」という使い方をする以上、その判定が本番の選抜の仕組みを反映しているかどうかは確認しておく価値があります。

そしてこれらの模試は、臨海セミナーに通っていない中学生も受験できます。中3の途中から模試を始めるご家庭にとっても、県内の入試制度に合わせた判定を受け取れる選択肢になります。

ただし、模試の日程・会場・対象学年は年度や地域によって変わります。受験を検討する際は、必ず最新の実施要項を公式サイトで確認してください。また、どの模試を使う場合でも判定は指標の一つであり、1回の結果で志望校を決めるものではありません。

書籍『受験・学校選び ── 元教室長が教える後悔しない塾の決め方』の表紙

著書のご案内

受験・学校選び ── 元教室長が教える後悔しない塾の決め方

藤原 誠一 著/日本進学教育研究機構

中3の1年をどの時期で区切って考えるかは、塾を選ぶ段階で確認しておきたい点として書籍でも扱いました。入塾の面談では「秋までに何回分の判定がそろいますか」と聞いてみると、その塾が1年をどう設計しているかがわかります。


中3の1年間を他塾はどう組み立てるか──湘南ゼミナール・ステップ

神奈川県内で高校受験を扱う塾は臨海セミナーだけではありません。中3の1年をどう区切り、模試をどこに置くかは塾によって考え方が異なるため、代表的な2社を挙げておきます。

湘南ゼミナールが持つのは、神奈川県の公立高校入試に特化した集団指導のカリキュラムです。理解を授業で、定着を宿題で、計測を小テストで行うサイクルを繰り返し、その延長に定期テストと模試を置いて入試へつなげる流れが組み込まれています。模試を年に数回の行事として扱うのではなく、日々の学習サイクルの計測点の一つとして置く考え方で、中3の1年についても、時期ごとに扱いを変えるというより同じサイクルを最後まで回し続ける形になります。

ステップは、神奈川県内に絞って教室を展開する集団指導塾です。塾生向けの情報紙、オリジナルの入試情報冊子、志望校別の進学ガイダンス、定期的な保護者面談といった情報提供の仕組みを持っており、模試で出た数字を進路の判断へ変換する部分を、面談とガイダンスで支える形をとっています。志望校を決める場面が集中する中3の後半に、この接点が置かれている構成です。

外部への開き方は2社で分かれます。ステップは中3対象のオープン模試と特色検査対策模試に一般生の受験料を塾生とは別に設定しており、塾生以外も申し込めます。申し込みは各スクールの窓口で受け付ける形です(2026年9月時点の模試案内)。湘南ゼミナールについては、通年で外部の中学生が単独で申し込める公開模試の案内は、模試・イベント情報で確認できる範囲では見当たりませんでした。中3から通塾せずに判定をそろえたい場合は、外部生の受験を受け付けている塾の模試か、出版社・模試センターが主催する公開模試を主軸に置くことになります。受けられるかどうかは年度によって扱いが変わることもあるため、申し込みの前に直接ご確認ください。


よくある質問(FAQ)

Q高校受験の模試は中3の何月から受けますか?

中3の4月から6月ごろに1回目を受けるのが一般的です。多くの模試がこの時期に中3対象の第1回を設定しています。春に受ける目的は判定を知ることではなく、あとの回と比べるための基準点をつくることと、成績表の読み方を先に把握しておくことです。1回目を夏まで先送りすると、志望校を絞り込む時期に手元にある推移が1本分短くなります。

Q中3の模試は何月ごろから何回くらい受けますか?

4月から6月ごろに1回目を受け、夏休み明けからは実施回を飛ばさずに続けて受けるのが基本です。回数の目安は年2回から毎月まで情報源によって幅がありますが、これは前提にしている模試の年間実施回数が違うためです。自分の回数は、主軸に決めた模試が年に何回実施されるかで決まります。回数を増やすことより、実施回の間を飛ばさないことのほうが効きます。

Q志望校が未定のうちに模試を受ける意味はありますか?

あります。春の回は志望校の判定を得るための回ではなく、あとの回と比べる基準点をつくる回だからです。志望校が決まっていなくても、その時点の学力の位置と、単元別にどこが弱いかは把握できます。志望校が固まってから受け始めると、判定が判断材料になる秋の時点で比べる相手が手元になく、1回分の数字だけで決めることになります。

Q模試の判定は何月ごろから志望校選びに使えますか?

夏休み明けの回からが目安です。春の回は受験者がまだ少なく、志望校を書いた顔ぶれも固まっておらず、中3の学習内容も終わっていないため、判定が動きやすい状態にあります。夏から秋にかけて受験者が増えて母集団が入試を受ける層に近づき、出題範囲も入試の全範囲に近づきます。ただし1回だけでは決めず、複数回分を並べて推移で読みます。

Q高校受験の模試は冬(11月〜1月)も受けたほうがよいですか?

受けたほうがよいですが、目的が変わります。冬は判定を上げにいく時期ではなく、本番の形式と時間配分に体を合わせる時期です。直前期に本番形式の模試が別に用意されている体系もあり、臨海セミナーの場合は神奈川統一模試が中3の12月まで、公立入試型の臨海模試が12月・1月に実施され、塾外生も受験できます。判定を積み上げる期間と、形式に合わせる期間が分かれている形です。

Q高校受験の模試と高校生が受ける模試は違うものですか?

違います。高校受験の模試は中学生が高校入試に向けて受けるもので、都道府県ごとの公立高校入試の選抜方法に合わせて志望校判定が出される設計のものがあります。高校生が受ける模試は大学入試に向けたもので、対象学年も判定の仕組みも別です。検索したときに両方の情報が混ざって表示されることがあるため、対象学年を確認してから申し込んでください。


まとめ

高校受験の模試は、中3の4月から6月ごろに1回目を受け、そこから入試の直前期まで続けて受けるのが一般的です。ただし1年を通して役割は同じではありません。春は基準点をつくる回、夏から秋は判定を志望校の判断材料として使い始める回、冬は本番の形式と時間配分に体を合わせる回です。

判定の重みが時期で変わるのは、模試の側の条件が変わるからです。春は受験者がまだ少なく、志望校を書いた顔ぶれも固まっておらず、中3の学習内容も終わっていません。夏から秋にかけて受験者が増えて母集団が入試を受ける層に近づき、未習範囲が減って実力を測れる部分が増えます。判定を志望校の判断に使い始めるのは夏休み明けの回から、というのが実務的な目安になります。

回数については、年2回から毎月まで幅のある目安が出回っていますが、食い違うのは前提にしている模試の年間実施回数が違うためです。自分の回数は主軸に決めた模試の日程で決まります。先に主軸を1つ決めて、その年間日程をそのまま受験計画にするのが順序です。

判定を積み上げられる期間には終わりがあります。臨海セミナーの神奈川統一模試は中3の12月まで実施され、そこで判定が出そろい、直前期は公立入試型の臨海模試が12月・1月に行われます。判定を取る模試と本番形式で仕上げる模試が分かれている構成で、塾外生も受験できます。時期による役割の切り替えを受験者の側で組み替えなくてよいのが利点です。

そして、積み上げた判定は志望校の側の条件と突き合わせて初めて意味を持ちます。同じ偏差値帯の高校でも、内申点と学力検査の比率は学校ごとに違い、必要な準備の重心が変わります。神奈川の公立上位校について、偏差値と選抜比率を並べて比べたものは志望校別に偏差値と選抜比率を比較した記事にまとめています。模試の判定を手元に置いたうえで読むと、次にどこへ時間を使うかが見えてきます。

この記事を書いた人

藤原 誠一

藤原 誠一

日本進学教育研究機構認定 高校受験指導アドバイザー/元塾教室長

神奈川県の大手学習塾で18年、教室長として進路指導を統括。模試の結果を「現在地」として読み、次の一手に変えるための考え方を発信しています。

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執筆者プロフィール|note(藤原 誠一)