模試の申し込みが終わったあと、次に出てくる質問はだいたい決まっています。何を持って行けばいいのか、何を着て行けばいいのか、当日は何時に終わるのか。受ける模試そのものは決まっているのに、その日の過ごし方だけが決まっていない、という状態です。
持ち物のリストは、模試の案内に短く書かれていることがほとんどです。ただ、そこに書かれているのは品目だけで、なぜそれが必要なのか、どういう条件が付いているのかまでは書かれていません。模試の持ち物でつまずくのは、品目を知らないからではなく、品目に付いている条件を知らないからです。鉛筆なら濃さ、腕時計なら音と種類、消しゴムなら個数。条件のほうを知っていれば、当日に困る場面はほとんどなくなります。
服装も同じです。制服か私服かという二択で聞かれることが多いのですが、実際に当日の出来に効いてくるのは、その二択ではなく温度と柄です。
この記事では、必ず要る持ち物とあると困らない持ち物を分けて整理し、服装の決め方、前日にやること、当日の流れ、そして遅刻や時計の忘れ物といった想定外への対処までを扱います。私の専門は高校受験の指導で、教室長として18年、模試の前後で生徒と保護者の方から相談を受けてきました。どの模試を受けるかを決める話や、返ってきた成績表の読み方は別の記事に譲り、ここでは受ける前と当日に絞ります。
この記事のサマリー
- 必ず要るのは受験票・筆記用具・時計:3点とも当日に代わりを用意しにくく、忘れると受験や時間配分に直接ひびきます
- 時計は機能に条件がある:アラームが鳴らない設定にし、スマートウォッチは使えないことが多いと考えてください
- 服装は制服でも私服でもよい:指定がなければどちらでも受けられます。決め手は温度調節ができるかどうかです
- 英字や地図の柄は避ける:不正と誤解される恐れがあり、模試主催者の手引きにも注意として書かれています
- 前日に確認するのは4つ:持ち物、会場までの経路、その回の出題範囲、そして就寝時刻です
- 当日に困っても打つ手はある:遅刻や時計の忘れ物は、実施要項の記載と会場での申し出で扱いが決まります
目次
模試の持ち物は受験票・筆記用具・時計、服装は温度調節できるものを選ぶ
模試の持ち物で必ず要るのは、受験票・筆記用具・腕時計の3点です。この3点に共通しているのは、当日その場で代わりを用意しにくいということです。受験票は再発行できない模試があり、筆記用具は貸し借りが禁じられている会場があり、腕時計は教室に時計がない会場では代わりがありません。持ち物を減らしていったときに、最後まで残るのがこの3つです。
逆に言えば、それ以外のものは当日でも何とかなる場合が多いということでもあります。飲み物は買えますし、上着は暑ければ脱げばいい。だから持ち物リストを覚えるときは、全部を同じ重さで覚えるのではなく、代わりがきかない3点と、あると困らないものの2段階に分けて覚えてください。この分け方をしておくと、家を出る前の確認が3つで済みます。
もうひとつ大事なのは、品目に条件が付いていることです。鉛筆なら、マークシートを塗るのに向いた濃さがあります。腕時計なら、音が鳴らないことと、通信機能が付いていないことが求められます。消しゴムは、落としたときに拾えないことがあるので複数。持ち物でつまずく人のほとんどは、品目ではなく条件のところでつまずいています。次の章で、この条件を1つずつ書きます。
服装については、指定がない限り制服でも私服でもかまいません。これは多くの模試に共通する扱いで、主催者の案内にも「制服でなくても構いません」と書かれているものがあります。ただし、どちらを選ぶかより効いてくる条件が2つあります。温度調節ができることと、試験に持ち込めない情報が服に載っていないことです。この2つは制服でも私服でも同じように確認が要ります。
そもそも模試は学校の外の団体が実施するテストで、会場も自分の教室ではありません。知らない場所で、知らない受験生に囲まれて解くという条件そのものが、模試を受ける意味の一部になっています。この前提については模試とは何かを扱った記事で整理しました。ここから先は、その日をどう迎えるかの実務に入ります。
この記事が扱う範囲
ここで扱うのは、受ける模試が決まったあとの準備と当日です。どの模試を受けるかを決める話と、返ってきた成績表の読み方は別の記事で扱っています。また、持ち物や服装の細かい指定は模試ごとに違います。この記事に書いたのは多くの模試に共通する考え方で、最終的な確認は申し込んだ模試の実施要項でお願いします。
模試の持ち物リスト──必ず要るものと、あると困らないもの
持ち物は2段階に分けて考えます。受験票・筆記用具・腕時計は、欠けると受験そのものや時間の使い方に直接ひびく3点です。上着や飲み物、現金や交通系ICカードは、なくても受験はできますが、あると当日の負担が減ります。まず表で全体を見てから、1つずつ条件を確認してください。
| 品目 | 位置づけ | 確認しておく条件 |
|---|---|---|
| 受験票(受講証) | 必ず要る | 印刷の指定、記入欄、写真の要否。再発行できない模試がある |
| 筆記用具 | 必ず要る | 鉛筆の濃さ、シャープペンシルの可否、消しゴムの個数 |
| 腕時計 | 必ず要る | 音が鳴らないこと。スマートウォッチは不可のことが多い |
| 上着・羽織もの | あると困らない | 脱ぎ着しやすいこと。柄に文字や地図が入っていないこと |
| 飲み物・昼食 | あると困らない | 途中で外に出られない会場がある。周辺に店がない場合に備える |
| 現金・交通系ICカード | あると困らない | 残高。乗り換えや帰りの分まで足りるか |
| コンパス・定規 | 模試による | 使用の可否と貸し借りの扱い。実施要項に記載がある |
必ず持って行くもの──代わりがきかない3点と、その条件
受験票は、忘れると受験できない場合があります。自宅で印刷する形式の模試では、サイズの指定や、当日までに記入しておく欄があることもあります。前日のうちに、印刷して記入まで済ませた状態にしてかばんへ入れてください。当日の朝に印刷しようとして、インクが切れていた、という話は毎年聞きます。
筆記用具では、鉛筆の濃さが条件になります。マークシート方式の解答用紙は、機械が塗りつぶしを読み取るため、薄いと読み取られないことがあります。案内には、HB以上の濃さの鉛筆かシャープペンシルという書き方をしている模試が多く見られます。鉛筆は複数本を削って持って行き、転がらないように輪ゴムでまとめておくと、当日に落として拾えない事態を避けられます。消しゴムは2個以上。1個を落として拾えないと、そこから先の見直しができなくなります。
腕時計は、条件がいちばん細かい品目です。アラームや通知の音が鳴らない設定にしておくこと、そして通信機能が付いていない時計であることが求められます。スマートウォッチは使用を認めていない模試が多く、時計として持ち込めないと考えておいたほうが安全です。スマートフォンを時計代わりにすることも認められません。教室に時計が掛かっている会場もありますが、掛かっていない会場もあります。時計がある前提で行かないでください。
- 受験票(受講証)──印刷と記入を前日に済ませ、かばんへ入れる
- 筆記用具──鉛筆は複数本、消しゴムは2個以上。シャープペンシルの可否を確認する
- 腕時計──音が鳴らない設定。スマートウォッチとスマートフォンは代わりにならない
- 上着など温度調節できるもの──脱ぎ着しやすいものを1枚
- 現金・交通系ICカード──帰りの分まで残高を確認しておく
あると困らないもの──上着・飲み物・現金と交通系ICカード
上着は、持ち物であると同時に服装の一部でもあります。会場の空調は座席によって効き方が違い、窓側と通路側で体感が変わることもあります。暑ければ脱ぐ、寒ければ着る、という調整を自分でできる状態にしておくのが、いちばん確実な対策です。羽織ものを1枚かばんに入れておけば、季節を問わず対応できます。
飲み物と昼食は、会場の条件によります。試験の途中で外に出られない運用の模試があり、周辺に店がない会場もあります。午前から午後にまたがる日程なら、昼食は持って行くほうが安全です。飲み物は冷たすぎないもののほうが、体を冷やさずに済みます。
現金と交通系ICカードは、行きだけでなく帰りの分まで見ておきます。はじめて行く会場では、乗り換えを間違えて予定より運賃がかかることもあります。残高の確認は前日のうちに済ませてください。身分証明書として生徒手帳を入れておくと、受験票に不備があったときの確認に使える場合があります。休み時間に見直す用の参考書を持って行くなら、使い慣れた1冊だけにしてください。何冊も持って行くと、どれも開かないまま終わります。
中学生が迷いやすいもの──コンパスと定規、参考書、スマートフォン
中学生の模試の持ち物で判断が分かれるのが、コンパスと定規です。模試によって扱いが違い、持ち物として明記している主催者もあれば、使用を認めていない主催者もあります。公開会場の案内に「筆記用具(コンパス、定規)」と書いている模試もあり、この場合は用意していかないと解けない設問が出る可能性があります。逆に、試験時間中の貸し借りを禁止すると明記している模試もあります。持ち物として書かれていても、隣の席の受験生から借りることはできないという前提で用意してください。
参考書と問題集は、休み時間の見直し用です。ただし模試の休み時間は長くありません。ここで新しい単元を確認しようとすると、直前に見た内容が頭に残ったまま次の教科に入ることになります。持って行くなら、これまで自分が書き込んできた1冊にしてください。
スマートフォンは、電源を切ってかばんにしまいます。着信音や通知音が鳴ると、その教室全体に影響が出ます。時計代わりに机の上へ置くことは認められません。会場までの経路を調べるのに使ったあとは、教室に入る前に電源を切る、という手順にしておくと忘れません。自宅受験を選んだ場合は、この前提そのものが変わります。会場の備品も監督者もいない環境で、時間管理と持ち物の用意を自分でそろえることになるためです。受験形式ごとの違いは模試の種類を会場・自宅・オンラインで整理した記事で扱いました。
模試の服装は制服でも私服でもよい──決め手は温度調節と柄
模試の服装は、指定がなければ制服でも私服でもかまいません。主催者の案内にも「受験にふさわしい服装(制服でなくても構いません)」という書き方をしているものがあります。二択そのものに正解はなく、当日の出来に効いてくるのは温度調節ができるかどうかと、服に載っている情報です。
制服で行くか私服で行くかの決め方
制服の利点は、朝に迷わないことです。何を着るかを考えずに済み、着替えた時点で気持ちが試験に向きます。学校のテストと同じ服装で受けるため、いつもの感覚のまま解けるという面もあります。模試の朝に判断する項目を1つ減らせる、というのが制服のいちばんの利点です。
私服の利点は、体温調節がしやすいことと、体を締めつけないものを選べることです。長時間すわって解くため、ウエストや襟まわりがきついと集中が続きません。公立高校の入試本番でどちらを着るかは学校や地域によって違いますが、本番と同じ格好で受けておくと、当日の感覚を先に確かめられます。
どちらを選んでも共通して必要なのが、脱ぎ着できる羽織ものです。会場の空調は座席によって効き方が違い、同じ教室でも暑い席と寒い席が出ます。暖房が強い会場では、厚手の服を着てきた受験生のほうが苦しくなります。中に薄手のものを着て、上に1枚羽織る。この形にしておけば、どちらに転んでも調整できます。履き慣れない靴は当日に下ろさないでください。会場までの移動で足が痛くなると、それだけで集中が削られます。
避けたほうがよい服装──英字や地図がプリントされた服
服装で1つだけはっきりした注意点があります。英文字や地図、数式などが大きくプリントされた服は避けてください。これは見た目の問題ではなく、不正行為と誤解される可能性があるためです。
この注意は、記事や個人の意見として言われているだけのものではありません。模試主催者が配っている会場受験の手引きに、英文字や地図などがプリントされている服は本番の入試では着ることが許されないこともある、という趣旨の記載があります。模試は本番の練習を兼ねているため、同じ基準で用意しておくほうが確実です。
具体的には、英語の長文が並んだTシャツ、世界地図や日本地図が入ったパーカー、化学式や数式がデザインされた服が該当します。学校名や部活名が入ったものは問題になりにくいのですが、判断に迷うようなら無地に近いものを選んでください。当日の朝に監督者から指摘されて上着を裏返す、という事態を避けるだけでも、選ぶ価値があります。
模試の受け方は前日から始まる──当日の流れと時間の使い方
模試の前にやることは、勉強よりも確認のほうが多くなります。前日に確認するのは、持ち物、会場までの経路、その回の出題範囲、そして就寝時刻の4つです。どれも当日の朝には間に合わないものばかりで、前の晩に済ませておく意味があります。まだどの模試を受けるか決めていない段階であれば、模試を目的別に整理した記事を先にご覧ください。
前日のうちに確認すること──持ち物・会場・出題範囲
持ち物は、前の章のチェックリストで確認します。並べて、かばんに入れて、玄関に置く。ここまでを前日にやっておけば、朝は持って出るだけになります。
会場は、経路と所要時間を調べます。最寄り駅から会場までの徒歩の時間、乗り換えの回数、そして当日の集合時刻から逆算した家を出る時刻まで決めてください。はじめて行く会場なら、地図アプリで駅から会場までの道を一度たどっておくと、当日に迷いません。日曜日は電車の本数が平日と違うことがあるので、時刻表もその日のもので確認します。
そして出題範囲です。模試の出題範囲は、その回までに学習が終わっている範囲が中心で、実施回が進むにつれて広がっていきます。中1・中2の内容が累積し、その時期までに習った単元が加わる、という組み立てになっている模試が一般的です。多くの主催者は、実施回ごとの出題範囲を公式サイトや申込案内で事前に公表しています。「模試の範囲がわからない」と思ったときに見るのは参考書ではなく、申し込んだ模試の範囲表です。学校の進度より先の単元が含まれることもあり、その部分は未習として切り分けて考えます。定期テストと違って範囲が入試の全範囲へ広がっていく理由そのものは、模試とは何かを扱った記事で整理しました。
前日の勉強と就寝時刻──新しい問題には手を出さない
前日の勉強は、これまでやってきたものの確認にとどめます。初見の難問や、新しく買った問題集に手を出すのは避けてください。解けなかったときに不安が残り、その状態のまま当日を迎えることになります。
見直すなら、英単語や漢字のような暗記もの、それと自分が間違えた問題を集めたノートです。すでに一度解いた問題の解き方を頭の中でたどるだけでも、当日の入りが変わります。前日にできるのは、持っている力を出しやすい状態に整えることであって、力そのものを増やすことではありません。
就寝時刻は、当日の起床時刻から逆算します。6時間から8時間の睡眠が取れる時刻に布団へ入ってください。寝る前に画面を見ていると寝つきが悪くなるため、スマートフォンは早めに手放します。前日の夜に詰め込んだ分より、当日に眠くならないことのほうが点数に効きます。
模試当日の集合から解散まで──何時に着いて、いつ終わるか
当日は、集合時刻より少し早く会場に着くように出ます。受付をして、席を確認して、上着を脱ぐかどうかを決めるところまでを、開始前に済ませておきたいからです。ぎりぎりに着くと、座った直後に1教科目が始まります。
模試にかかる時間は、教科数と受ける検査の組み合わせで決まります。中学生の模試は英語・数学・国語の3教科か、これに理科・社会を加えた5教科が基本です。5教科であれば、休憩を挟んで数時間、午前から午後にまたがる日程になります。3教科だけの回や、特色検査のような追加の検査を希望制にしている模試では、申し込み内容によって終了時刻が変わります。この記事の後半で、学年と検査の組み合わせで時間割が変わる実例を挙げます。
解いている間に意識することは2つです。1つは時間配分で、解ける問題から確実に取ること。難しい問題に時間をかけすぎると、後ろにある取れるはずの問題まで届きません。もう1つはマークの精度です。マークシートは濃く塗り、終了前に解答欄がずれていないかを見直してください。1問ずれると、そこから先が全部ずれます。
終わったあとにやることが1つあります。問題用紙に、自分がどう答えたかを控えておくことです。模試の答案は主催者が回収して採点するため、結果が返るまでには数週間かかります。控えがあれば、その日のうちに自己採点ができます。記憶が新しいうちに自分の答えと解答例を突き合わせると、なぜ間違えたのかまで思い出せます。返ってきた成績表をどう読むかは模試の判定の見方を扱った記事と偏差値と点数の見方を扱った記事で扱いました。
当日に困ったとき──遅刻しそうなとき、時計を忘れたとき
遅刻しそうだとわかった時点で、会場か主催者へ連絡してください。遅刻したときの扱いは主催者によって違います。一定の時間までなら入室を認めて、その教科の残り時間で解く運用がある一方、開始後の入室を認めない模試もあります。連絡すれば、当日の対応をその場で教えてもらえます。
連絡先は、受験票や案内に書かれていることが多いので、前日に会場の電話番号を控えておくと、当日にあわてずに済みます。電車が遅れた場合は、遅延証明書を受け取っておいてください。
時計を忘れたことに気づいたときは、会場に着いてからなら監督者に申し出ます。教室に時計がない会場もあり、残り時間の読み上げがあるかどうかは会場ごとに違うためです。スマートフォンを時計の代わりに使うことは認められません。向かう途中で気づいたのであれば、コンビニなどで簡単な時計を用意しておくのが確実です。時間がわからないまま解くと、時間配分の練習という模試の目的の一つが丸ごと失われます。
体調が悪いときは、無理をしないという判断もあります。模試は年に何度もあり、同じ模試の別の回を受けられることもあります。熱があるまま受けて出た数字は、実力の反映として読めません。受けるかどうかを迷ったら、その回の数字を何に使いたかったのかで決めてください。
時計を持たずに会場へ来た生徒が、終了後に「時間がわからなくて焦った」と言ったことがありました。点数そのものより、最後の大問に手をつけられなかったことを悔しがっていたのを覚えています。時計は解答の中身には関係しませんが、時間配分の練習ができるかどうかを分けます。模試で測りたいのは知識だけではなく、決められた時間の中でどう配るかも含まれている。だから持ち物の中で、時計は受験票の次に忘れてほしくないものです。
当日の対応は実施要項が基準になる
遅刻・忘れ物・体調不良への対応は、模試ごとに定められています。この記事に書いたのは多くの模試に共通する考え方で、実際の扱いは申し込んだ模試の実施要項が基準です。前日の確認のときに、要項の連絡先と注意事項の欄まで目を通しておくと、当日に判断する材料が手元にそろいます。
持ち物の指定が学年と受ける検査で変わる──臨海セミナーの模試体系
著書のご案内
受験・学校選び ── 元教室長が教える後悔しない塾の決め方
模試の案内文をどこまで細かく書いているかは、その塾が当日の運営をどれだけ想定しているかの手がかりになります。書籍では、資料や案内から塾の姿勢を読み取る方法を章立てて扱いました。
持ち物の案内は、申し込んだ模試の要項にしか書かれていません。しかもその内容は、模試の名前が同じでも、学年や日程によって変わることがあります。神奈川県内で高校受験を扱う臨海セミナーが実施する神奈川統一模試は、この違いが公式の案内に明記されている例です。
公式の案内によると、中3を対象にした10月と11月の教室受験では、持ち物は筆記用具と案内されています。実施時間は特色検査を申し込んだ場合が11時から17時10分、申し込まない場合が12時10分から17時10分で、教科は英語・数学・国語・理科・社会に特色検査を加えた構成です。特色検査模試は希望者のみのため、申し込むかどうかで開始時刻が変わります。
これが12月の日程になると、内容が変わります。対象が中1から中3に広がり、持ち物は筆記用具に加えて、中2と中3のみ軽食と案内されています。開始時刻も学年で分かれ、中1は特色ありが17時40分から、特色なしが18時30分から。中2は15時50分または16時40分から、中3は15時30分または16時40分からで、いずれも21時台の終了です。教科の構成も、中1が英語・数学・国語に特色検査、中2と中3が5教科に特色検査と分かれています。
同じ模試の同じ持ち物欄でも、学年と受ける検査の組み合わせによって、書かれている内容が変わるということです。中3の10月に受けたときは筆記用具だけだったのに、12月の回では軽食が加わる。この差は、実施時間の長さから来ています。教科数が多く、終了時刻が遅い日程では、途中で食べるものが要ります。
ここから読み取れるのは、持ち物リストを一度覚えて終わりにはできないということです。受ける回ごとに、その回の案内を見に行く必要があります。持ち物の指定は、その日の時間割と教科構成の裏返しになっているためです。時間割が変われば、必要なものも変わります。
なお神奈川統一模試には自宅受験の設定もあり、こちらは中3を対象に英語・数学・国語・理科・社会で実施されると案内されています。会場へ行かない形式では、持ち物という考え方そのものが当てはまりません。用意するのは物ではなく、本番と同じ時間で解ける環境のほうになります。またこの模試は「臨海セミナーにお通いでない方が対象の模試です」と公式に明記されており、塾外生を対象として設計されています。
日程・対象学年・持ち物・実施時間は年度によって変わります。受験を検討される場合は、必ず各社の公式サイトで最新の実施要項をご確認ください。
受ける検査を組み合わせて申し込む形もある──湘南ゼミナール・ステップ
申し込みの段階で当日の中身が決まる仕組みは、他社の模試にも見られます。湘南ゼミナールとステップについて、それぞれの公開情報から読み取れることを書いておきます。
ステップのオープン模試は、2026年9月時点の公式の案内で中3を対象にした回が示されています。オープン模試と特色検査対策模試は、単体でもセットでも受験できると明記されており、オープン模試については5科受験のほかに3科受験も選べるとされています。2つを同時に受けた場合は、6科目の総合成績で合格判定を確認できると説明されています。申し込みは塾生以外も可能で、一般の方はスクールの窓口で受け付け、受験料も窓口で支払う形と案内されています。何科目を受けるかを自分で選ぶ設計のため、当日の時間割も申し込み内容で変わります。
湘南ゼミナールは、現在の公開情報では特定の高校の特色検査に対応した対策講座を案内しており、その講座の中で特色検査のそっくり模試と解説授業を実施する形になっています。2日間は対面、残りはオンラインという構成で、回によって受ける場所が変わります。定員を設けて添削指導を行う設計です。
3社を並べると、当日に何をどこで受けるのかが、いずれも申し込みの段階で決まる構造になっています。持ち物や服装をいつ確認するかという問いへの答えは、ここにあります。申し込みの内容が確定した時点で、その回の案内を開いてください。模試の名前だけでは、当日に必要なものは決まりません。
よくある質問(FAQ)
模試の持ち物は、受験票・筆記用具・腕時計の3点が基本です。受験票は当日に再発行できないことがあり、筆記用具はマークシートに対応した濃さの鉛筆かシャープペンシルと消しゴムを用意します。腕時計は教室に時計がない会場に備えて持参します。上着や飲み物、現金や交通系ICカードも入れておくと当日に困りません。
中学生の模試の服装は、指定がなければ制服でも私服でもかまいません。会場の空調は座席によって効き方が違うため、どちらを選んでも脱ぎ着できる羽織ものを1枚足しておくと安心です。英字や地図がプリントされた服は不正と誤解されることがあるため避けます。履き慣れない靴も当日は選ばないほうが無難です。
模試の出題範囲は、その回までに学習が終わっている範囲が中心で、実施回が進むほど広がります。多くの模試は回ごとの出題範囲を公式サイトや申込案内で事前に公表しているため、申し込んだ回の範囲表を確認するのが確実です。学校の進度より先の単元が含まれることもあるため、範囲は自分で確かめてください。
扱いは模試ごとに定められていて、一律ではありません。開始から一定の時間内であれば入室でき、その教科は残った時間で解くという運用がある一方、決められた時刻を過ぎると当日の受験ができない模試もあります。まずは受験票に書かれた連絡先へ電話を入れてください。判断の基準になるのは実施要項の記載です。
代わりになるものを自分で決めず、係の人に伝えてください。教室に時計があるかどうか、残り時間を知らせてもらえるかどうかは会場ごとに違うためです。スマートフォンを机に置くことは認められていません。移動の途中で気づいたのであれば、通り道の店で安価なものを買っておくほうが確実です。
答案は主催者が回収してから採点するため、結果が手元に戻るまでには数週間かかるのが一般的です。自宅受験の場合は、答案を返送してから成績表が届くまでの日数が別に必要になります。返却を待つ間にできるのは、当日のうちに問題用紙へ控えた自分の答えで自己採点しておくことです。
まとめ
模試の持ち物は、受験票・筆記用具・腕時計の3点が基本です。この3つは当日その場で代わりを用意しにくく、忘れると受験そのものや時間の使い方に直接ひびきます。上着や飲み物、現金と交通系ICカードは、なくても受験はできますが、あると当日の負担が減ります。リストを覚えるときは、代わりがきかない3点と、あると困らないものの2段階に分けてください。
持ち物でつまずくのは、品目ではなく条件のところです。鉛筆はマークシートを塗れる濃さで複数本、消しゴムは落としたときのために2個以上、腕時計は音が鳴らない設定で、スマートウォッチは使えないことが多い。コンパスと定規は模試によって扱いが分かれ、試験時間中の貸し借りを禁じている主催者もあります。品目に付いている条件のほうを確認してください。
服装は、指定がなければ制服でも私服でもかまいません。決め手は二択そのものではなく、脱ぎ着できる羽織ものがあるかどうかです。会場の空調は座席によって効き方が違います。英字や地図がプリントされた服は、不正と誤解される恐れがあるため避けてください。これは模試主催者の手引きにも注意として書かれている内容です。
前日に確認するのは4つです。持ち物、会場までの経路と家を出る時刻、その回の出題範囲、そして就寝時刻。出題範囲は多くの模試が実施回ごとに公表しているので、参考書ではなく申し込んだ模試の範囲表を見ます。前日の勉強は、これまで解いたものの確認にとどめ、初見の難問には手を出しません。
当日は集合時刻より早めに着き、解いている間は解ける問題から取り、マークのずれを終了前に見直します。終わったら、問題用紙に控えた自分の答えでその日のうちに自己採点をしてください。答案は主催者が回収して採点するため、結果が戻るまでには数週間かかります。遅刻や時計の忘れ物といった想定外への対応は模試ごとに定められているので、前日の確認のときに実施要項の注意事項まで目を通しておくと、当日に判断する材料が手元にそろいます。


元教室長の視点
藤原 誠一|日本進学教育研究機構認定 高校受験指導アドバイザー
持ち物を前日の夜に机の上へ並べて、写真を撮ってから片づける。この手順をすすめていた時期があります。並べると、頭の中のリストと実物の差がはっきり出るからです。受験票を印刷したつもりで印刷していなかった、鉛筆が2本しかなかった、といったことが、写真を撮る前の段階で見つかります。当日の朝にかばんを開けて確認するより、前の晩に一度全部出すほうが、見落としは減りました。