「英語だけ毎回点が安定しないんです」「数学は計算で点を取っているのに、偏差値が上がらなくて」。模試の成績表を教科ごとに見ていくと、同じ受験生でも教科によって悩みの形がまったく違うことに気づきます。そして、5教科を同じやり方で勉強していることが、その悩みの原因になっていることが少なくありません。
教科ごとの対策を考えるときに役立つのが、県が毎年公表している学力検査の結果です。そこには、入試本番で受検者がどの問題で点を落としたかが、設問ごとの正答率として載っています。模試は公立入試の形式に合わせて作られていることが多いので、本番で正答率が低い問題の型は、模試でもそのまま差がつく場所になります。
この記事では、神奈川県の令和8年度の学力検査の結果を材料に、英語・数学・国語・理科・社会の5教科で点を落としやすい問題と、教科ごとの勉強の仕方、教科別の偏差値の読み方を扱います。高校受験の教室で18年、模試の答案を教科ごとに読んできた立場から書きます。模試を受けたあとの解き直しの手順は別の記事に分け、ここでは教科ごとの違いに絞ります。
この記事のサマリー
- 科目別対策は正答率が低い問題の型から:県が公表する設問別の正答率を見ると、教科ごとに受験者が点を落とす場所が決まっています
- 合格者平均点は教科で8点ほど違う:令和8年度は英語56.0点・数学56.7点・理科60.0点・社会62.3点・国語64.1点でした
- 英語は聞き取りと資料の読み取り:まとまった英語を聞いて要点を選ぶ問題が31.2%、英文と資料を照らし合わせる問題が29.2%でした
- 数学は計算で落とさず図形で差がつく:基本の計算は9割以上が正解し、条件を整理して解く図形の問題は1%台以下でした
- 国語は語句の選択と論述:漢字の読みは8〜9割が取れ、複数の文章をもとに書く論述は21.0%でした
- 教科別の偏差値は散らばりと並べて読む:英語は合格者の得点が広く散らばり、数学は60点台に集まるため、同じ5点の重みが違います
目次
模試の科目別対策は、入試で正答率が低い問題の型から決める
模試の科目別対策は、教科ごとに「受験者の正答率が大きく下がる問題の型」を知ることから始まります。神奈川県は毎年、公立高校入試の学力検査の結果として、教科ごとの合格者平均点と設問ごとの正答率を公表しています。模試は本番の形式に合わせて作られていることが多いので、本番で差がついた型は、模試でも差がつく型だと考えてかまいません。
令和8年度の合格者平均点は英語56.0点、国語64.1点
神奈川県の学力検査の結果によると、令和8年度(2026年2月実施)の全日制の合格者平均点は、100点満点で次のとおりでした。
| 教科 | 令和8年度 | 令和7年度 | 令和6年度 |
|---|---|---|---|
| 英語 | 56.0 | 51.4 | 47.0 |
| 国語 | 64.1 | 73.8 | 64.0 |
| 数学 | 56.7 | 51.3 | 55.6 |
| 理科 | 60.0 | 51.7 | 57.3 |
| 社会 | 62.3 | 57.9 | 54.8 |
令和8年度の5教科を並べると、英語の56.0点と国語の64.1点の間に約8点の開きがあります。合格した受験生でも、教科によって取れている点数の水準が違うということです。また、同じ教科でも年度によって大きく動きます。国語は令和7年度の73.8点から令和8年度は64.1点へ、約10点下がりました(年度ごとの数値は県の教育委員会への報告資料による)。
この動きは、模試の教科別の点数を読むときにも関係します。1回の模試で国語が10点下がっても、それがその回の問題の難しさによるものなのか、自分の力の変化なのかは、点数だけでは分かりません。教科別の結果を読むときは、その回のその教科の平均点と並べてください。点数と平均点の関係は、模試の偏差値と点数の見方を扱った記事で詳しく書きました。
正答率が3割前後まで下がる問題は、5教科すべてにある
設問ごとの正答率を見ると、どの教科にも受検者の正答率が3割前後、あるいはそれ以下まで下がる問題があります。一方で、同じ教科の中に9割前後が正解している問題もあり、教科の中で点の取りやすさがはっきり分かれています。令和8年度の結果から、教科ごとに正答率の低かった問題を1つずつ挙げると次のとおりです(正答率の集計対象はマークシート方式で解答した受検者)。
29.2%
英語:英文と資料から情報を読み取る問題
21.0%
国語:複数の文章をもとに論述を完成させる問題
1.6%
数学:三平方の定理などを使って三角形の面積を求める問題
16.6%
理科:観察の結果から太陽の自転周期を求める問題
社会でも、神戸市の開発について資料から読み取れることの正誤を選ぶ問題が32.0%、人の移動の歴史について述べた文の正誤を選ぶ問題が34.2%でした。正答率が低い問題に共通しているのは、覚えた知識をそのまま答える問題ではなく、資料や条件を読み取って知識と組み合わせる問題だということです。県の結果の概要にも、教科ごとに同じ趣旨のことが書かれています。
ここから導けるのは、模試の科目別対策の順番です。まず、どの教科でも基本問題を落とさないこと。そのうえで、教科ごとに正答率が下がる型に絞って、模試で試すこと。正答率が下がる型は教科によって違うので、5教科を同じやり方で勉強していると、どこかの教科で型に合わない勉強をすることになります。
3教科の模試対策──英語・数学・国語で失点が集まる問題
英語・数学・国語の模試対策は、教科ごとに「基本で落とさない部分」と「差がつく型」を分けて考えます。3教科とも、基本的な問題の正答率は高く、差がつくのは読み取りや条件の整理が必要な問題です。ただし、差がつく型の中身は教科ごとに違います。
英語:まとまった英語の聞き取りと、英文と資料を照らし合わせる問題
令和8年度の英語では、対話を聞いて応答を選ぶリスニングの問題は64.5〜83.4%が正解していました。一方で、まとまりのある英語を聞いてその要点を選ぶ問題は31.2%、内容に合うものを選ぶ問題は31.3%でした。短い対話は聞き取れても、1分ほど続く英語の要点をつかむところで差がついています。
読むほうでは、英文と資料から必要な情報を読み取って内容に合うものを選ぶ問題は29.2%で、3割を下回りました。単語を並べ替えて英文を作る問題も、5問のうち3問が34.3〜37.3%にとどまっています。
模試で英語の点が安定しない場合は、どちらで落としているかを分けてください。長い英語の聞き取りで落としているなら、音声を聞きながら要点を日本語で1文にまとめる練習が効きます。資料との照らし合わせで落としているなら、英文を読む前に資料の見出しと数字を先に確かめてから本文に入る、という順番を模試で試してください。並べ替えは、文の骨組み(主語と動詞)を先に決めてから残りを置く手順で解くと安定します。
数学:計算は9割が取れ、条件を整理する図形で差がつく
数学では、正の数・負の数や式の計算といった基本的な計算問題の正答率が92.5〜95.9%でした。受験者のほとんどが取れている問題なので、ここで1問でも落とすと、それだけで周りから遅れます。
差がついたのは図形の問題です。三角形の相似を証明する根拠を選ぶ問題は90.0%・93.4%が正解していたのに、同じ大問の中で、条件を満たす線分の長さを求める問題は0.4%、三平方の定理や相似比などを使って三角形の面積を求める問題は1.6%でした。ほかにも、関数で条件を満たす点のx座標を求める問題が17.7%、空間図形で3点を結んでできる三角形の面積を求める問題が19.8%、2つのさいころの確率が23.8%です。
数学の模試で時間が足りなくなる人の多くは、この差がつく問題に時間を使いすぎて、取れるはずの計算や関数の前半を見直す時間をなくしています。模試では、計算と各大問の最初の問題を先に取り切り、図形の最後の問題は残った時間で扱う、という順番を試してください。当日の時間割と全体の時間の使い方は、模試の持ち物と当日の受け方を扱った記事で書きました。
国語:漢字は読みより語句選び、複数の文章を使う論述は2割
国語の漢字では、読みを選ぶ問題は86.2〜92.4%が正解していました(「委嘱」だけは63.0%)。ところが、同じ漢字が使われている語句を選ぶ問題になると、「巻」を使う語句(巻末・圧巻)を選ぶ問題が39.5%まで下がります。読めることと、その字を使った熟語を見分けられることは、別の力だということです。
国語で大きく差がついたのは、最後の論述です。複数の文章の情報を整理するためのメモを完成させる問題は53.1%でしたが、条件に従って空欄に内容を書き、複数の文章の情報をもとに論述を完成させる問題は21.0%でした。説明的な文章でも、本文全体について説明したものを選ぶ問題は37.2%にとどまっています。
模試の国語で点が伸びない場合は、論述の条件を読み落としていないかを確かめてください。字数・使う言葉・どの文章の情報を入れるか、といった条件に線を引いてから書き始めるだけで、得点の入り方が変わります。漢字は、読みの練習に加えて、同じ字を使った熟語を2〜3語ずつ書き出しておくと、語句を選ぶ問題に対応できます。
教科ごとの弱点を市販の問題集で埋める場合は、目的に合った1冊を選ぶことが大切です。問題集や参考書の選び方は、姉妹サイトの高校受験の問題集・参考書の選び方を扱った記事で、目的別に整理されています。
数学の答案を見ていて、いちばんもったいないと感じたのは、図形の最後の問題で途中まで式を書いて止まっている答案でした。その同じ答案で、大問1の計算を1問落としている。本人は難しい問題に挑んだつもりですが、点数だけで見れば、取れる1問を捨てて、取れない1問に時間を払った形です。模試は、この順番を入れ替える練習ができる場です。本番の前に一度、計算と各大問の最初を先に取り切る解き方で受けてみてください。
理科・社会の模試対策──覚えた知識を資料と実験に当てはめる2教科
理科と社会の模試対策は、覚えた知識を、資料や実験の結果に当てはめる練習が中心になります。令和8年度の結果の概要でも、2教科とも基本的な知識を問う問題の正答率は高く、資料や実験から考える問題の正答率が低かったと書かれています。覚える量を増やすより、覚えたことを使う場面を増やすほうが、模試の点に結びつきます。
理科:観察の結果から考える問題と、実験の計画を問う問題
理科では、観察の結果から太陽の自転周期を求める方法について空欄を埋める問題が16.6%と26.9%でした。生物の分野でも、実験の結果から考えられることを選ぶ問題が41.4%、仮説を確かめるための実験計画を問う問題が47.2%と、半数を下回っています。一方で、同じ大問の中の光合成を調べる実験の空欄補充は80.6%・91.7%が正解していました。
違いは、答えを知っているかどうかではなく、実験の目的と手順を自分で組み立てられるかどうかです。模試の理科で点を落とした問題は、「この実験は何を確かめるためのものか」「何を変えて、何をそろえているか」を一文で書き出してから解き直してください。教科書の実験のページを読むときも、結果を覚えるだけでなく、条件の組み立て方を確かめておくと、初めて見る実験の問題に対応できます。
社会:資料の読み取りに、覚えた知識を結びつける
社会では、ヨーロッパ州の気候や農作物、日本の税金といった基本的な知識を問う問題は78.5〜87.0%が正解していました。差がついたのは、資料から読み取れることの正誤を選ぶ問題と、歴史の出来事を正誤で判断する問題で、神戸市の開発についての問題が32.0%、人の移動の歴史についての問題が34.2%でした。
正誤の組み合わせを選ぶ問題は、文を2つ以上正しく判断しないと得点になりません。模試では、選択肢の文の中で、資料で確かめられる部分と、覚えた知識で確かめる部分に線を引き分けてから判断してください。どちらの根拠で判断したかを答案に残しておくと、解き直しのときに、資料の読み違いなのか知識の抜けなのかがすぐにわかります。解き直しの具体的な手順は、模試の復習と解き直しのやり方を扱った記事にまとめました。
高校生の模試では、物理・日本史・世界史に科目が分かれる
ここまでは中学生の5教科の話です。高校生が大学受験に向けて受ける模試では、理科は物理・化学・生物・地学などに、社会は日本史・世界史・地理・公民などに分かれ、受験する大学や学部によって受ける科目の組み合わせが変わります。「物理 模試」「世界史 模試」で調べて出てくる情報は、こうした大学受験の科目の話です。
中学生のうちは5教科を広く扱い、高校に上がってから文系・理系と受験科目に合わせて科目を選ぶ、という順番になります。高校生の模試の種類や、中学の模試から何が変わるかは、高校生の模試を扱った記事で整理しています。
教科ごとの得点の散らばり方で、同じ5点の重みが変わる
模試の教科別の偏差値は、その教科の得点がどのくらい散らばっているかによって、同じ5点でも動き方が変わります。県の結果に載っている合格者の得点分布を見ると、英語は得点が広く散らばり、数学は60点台に集まっていました。教科別の偏差値を読むときは、この違いを頭に置いておく必要があります。
英語は得点が広く散らばり、数学は60点台に集まる
令和8年度の合格者の得点分布(10点刻み)を教科ごとに並べると、形がはっきり違います。
| 得点帯 | 英語 | 国語 | 数学 | 理科 | 社会 |
|---|---|---|---|---|---|
| 81〜90点 | 12.0% | 14.5% | 5.7% | 13.6% | 14.6% |
| 71〜80点 | 10.0% | 17.0% | 17.6% | 13.3% | 15.3% |
| 61〜70点 | 10.2% | 17.6% | 25.0% | 13.0% | 14.8% |
| 51〜60点 | 11.0% | 15.9% | 18.6% | 12.9% | 14.0% |
| 31〜40点 | 13.3% | 8.4% | 9.3% | 13.0% | 10.2% |
| 21〜30点 | 12.6% | 3.9% | 5.2% | 8.3% | 6.0% |
英語は、11点から99点までのどの得点帯にも6〜13%ほどの合格者がいて、21〜40点の帯だけで合わせて25.9%を占めます。合格した受験生の中でも、英語の点数は低いほうから高いほうまで広く分かれているということです。数学は反対に、61〜70点の帯に25.0%が集まり、51〜80点の3つの帯で6割を超えます。
模試の教科別偏差値は、その教科の散らばりと並べて読む
得点が一つの帯に集まっている教科では、少し点が上がるだけで多くの受験生を追い越します。数学のように60点台に人が集まる教科では、5点の差が順位と偏差値を大きく動かします。英語のように得点が広く散らばる教科では、同じ5点でも追い越す人数が少なく、偏差値の動きは小さくなります。
模試の教科別の偏差値を見て「英語は5点上がったのに偏差値がほとんど変わらない」「数学は3点しか上がっていないのに偏差値が大きく上がった」と感じたら、この散らばり方の違いを疑ってください。散らばり方はその回の模試と受験者層によって変わるので、県の分布はあくまで目安です。それでも、教科ごとに1点の重みが違うという見方を持っておくと、次の模試までにどの教科の何点を取りに行くかを決めやすくなります。
教科ごとに入り方を分ける中3の入試対策──臨海セミナーの指導体系
模試の教科別の結果で弱点が見えても、それをどう埋めるかは教科によって違います。神奈川発の大手である臨海セミナーは、中3の入試対策講座で、理科・社会と英語・数学・国語の入り方を分けていると公式に案内しています。教科ごとに違う対策が必要だという、この記事の見方と重なる設計です。
著書のご案内
受験・学校選び ── 元教室長が教える後悔しない塾の決め方
塾の授業が教科ごとにどう組まれているかは、体験授業で確かめられる数少ない情報です。書籍では、体験授業で見ておきたい点を章立てて扱いました。「理科と社会は、いつから入試向けの授業になりますか」と聞くと、その塾が教科ごとの時間の配分をどう考えているかがわかります。
理科・社会は中1・中2の復習から、英数国は入試レベルの演習から
臨海セミナーの中学生向けの案内では、中3の入試対策は秋から週末の講座として組まれています。教科ごとの扱いを見ると、理科と社会は中1・中2で習った内容の復習を出発点にして入試レベルの演習まで引き上げ、英語・数学・国語は上位校対策として入試に出るレベルの問題を数多く解く、という分け方です。
この記事で見てきたとおり、理科と社会で正答率が下がるのは、覚えた知識を資料や実験に当てはめる問題でした。当てはめる知識そのものが中1・中2の範囲で抜けていれば、演習に入っても点になりません。理社を復習から始める設計は、その順番に沿っています。英語・数学・国語は、基本問題の正答率がもともと高く、差がつくのは入試レベルの問題なので、演習の量で差を詰める形です。
9月からは受ける都県の出題傾向に合わせたテキストに替わる
同じ案内には、9月以降は各都府県の入試傾向に合わせたテキストを使い、直前期は入試の出題形式に慣れながら自分の苦手分野を把握して、最後まで得点を上げることも書かれています。神奈川の受験生であれば、神奈川の学力検査の出題形式に合わせた問題で演習することになります。
臨海セミナーの弱みも書いておきます。入試対策講座は塾生向けの講座で、塾に通っていない中学生が使えるのは、塾外生を対象にした神奈川統一模試までです。模試で教科別の弱点が見えたあと、講座で埋める仕組みまで使うには入塾が前提になります。塾に通わない場合は、この記事の教科ごとの対策を自分で組むことになります。
講座の中身や時期、対象の学年は、年度ごとに見直されることがあります。入塾を考える場合は、その年の案内を公式サイトで確かめてください。模試の教科別の結果も、1回だけで勉強の配分を決める材料にはせず、2回、3回と並べてから判断するのが確実です。
特色検査を授業に組む塾、授業後に質問を受ける塾──湘南ゼミナール・ステップ
教科の弱点を埋める場所をどこに置くかは、塾ごとに設計が違います。湘南ゼミナールとステップの2社について、公式サイトで確かめられた仕組みを挙げます。
ステップは、5教科とは別に筆記式の特色検査の対策に力を入れていると案内しています。公式の案内では、特色検査を「6番目の科目」ではなく合否のカギを握る最重要科目と位置づけ、中2・中3の通常授業として特色検査の対策を週1回実施していると説明しています。5教科の学力検査に加えて教科をまたぐ検査がある学校を目指す場合に、授業の時間割の中でその準備をする形です。
湘南ゼミナールは、公式の案内で、授業のあとに学校や授業でわからないところの質問や相談ができる「個別フォロータイム」を設け、講師を配置していると説明しています。集団授業の外で、教科ごとのわからないところをその日のうちに片づける仕組みです。
臨海セミナーは講座の中で教科ごとの入り口を変え、ステップは教科をまたぐ検査を通常の時間割に入れ、湘南ゼミナールは授業のあとに質問を受ける時間を置いています。模試で見えた弱点が、知識の抜けなのか、特色検査のような形式への慣れなのか、その日の疑問の積み残しなのかによって、合う仕組みは変わります。扱いは年度で変わることもあるので、検討の際は各社に確かめてください。
よくある質問(FAQ)
模試の英語で点を落としやすいのは、まとまった英語を聞いて要点を選ぶリスニングと、英文と資料を照らし合わせて読む問題です。神奈川県の令和8年度の学力検査では、前者が31.2%、後者が29.2%の正答率でした。短い対話の聞き取りや基本の読解は6〜8割が取れているので、この2つの型に絞って練習すると点が安定します。
数学の模試で時間が足りなくなるときは、計算問題と各大問の最初の問題を先に取り切り、図形の最後の問題は残った時間で扱う順番にします。神奈川県の令和8年度の学力検査では、基本の計算は9割以上が正解した一方、条件を整理して解く図形の問題は1%台以下でした。差がつきにくい問題に時間を使いすぎないことが先です。
模試の国語で点が伸びない原因は、複数の文章をもとに書く論述と、同じ漢字を使う語句を選ぶ問題にあることが多いです。神奈川県の令和8年度の学力検査では、論述を完成させる問題が21.0%、漢字の語句を選ぶ問題が39.5%でした。論述は字数や使う情報などの条件に線を引いてから書き始めると得点が入りやすくなります。
中学生の模試の勉強法は、教科ごとに受験者が点を落とす型が違うため変わります。英語は長い英語の聞き取りと資料の読み取り、数学は計算を落とさず図形の条件整理、国語は論述の条件と語句の選択、理科は実験の目的と手順、社会は資料と知識の組み合わせが中心です。どの教科も基本問題を落とさないことが先になります。
理科と社会は、中1・中2で習った単元の基本事項を復習したうえで、資料や実験の結果に知識を当てはめる問題を解いておきます。神奈川県の令和8年度の学力検査では、2教科とも基本的な知識の問題の正答率は高く、観察や実験から考える問題や資料と知識を組み合わせる問題の正答率が低いと公表されています。
「模試」は英語で mock exam や practice test と言います。本番の試験と同じ形式で行う練習のための試験という意味です。英語の授業で「模試を受ける」と言いたいときは take a mock exam のように表します。なお、この記事で扱っているのは、模試の英語の点数を上げるための対策のほうです。
まとめ
模試の科目別対策は、教科ごとに受験者の正答率が大きく下がる問題の型を知ることから始まります。神奈川県が公表している令和8年度の学力検査の結果では、英語は英文と資料を照らし合わせる問題が29.2%、国語は複数の文章をもとにした論述が21.0%、数学は条件を整理して解く図形の問題が0.4%と1.6%、理科は観察の結果から太陽の自転周期を求める問題が16.6%でした。どの教科でも、基本的な問題の正答率は高く、差がつくのは資料や条件を読み取って知識と組み合わせる問題です。
合格者平均点は英語56.0点から国語64.1点まで教科で約8点の幅があり、国語は前年度から約10点下がりました。模試の教科別の点数は、その回のその教科の平均点と並べて読んでください。また、英語は合格者の得点が広く散らばり、数学は60点台に集まるため、同じ5点でも偏差値の動き方が違います。
教科ごとの勉強の中心は、英語が長い英語の聞き取りと資料の読み取り、数学が計算を落とさず図形の最後の問題を後に回す順番、国語が論述の条件と漢字の語句、理科が実験の目的と手順、社会が資料と知識の組み合わせです。5教科を同じやり方で勉強せず、教科ごとに差がつく型に絞って模試で試すことが、科目別対策の考え方です。
教科ごとに入り方を分けて指導している例として、臨海セミナーは中3の9月以降の入試対策講座で、理科・社会を中1・中2の復習から始め、英語・数学・国語は入試レベルの問題を大量に演習すると案内しています。講座は塾生向けで、塾外生が使えるのは神奈川統一模試までです。どの方法をとる場合も、模試の教科別の結果は次に取りに行く1点を決めるための材料として使ってください。


元教室長の視点
藤原 誠一|日本進学教育研究機構認定 高校受験指導アドバイザー
毎年この結果が公表されると、私は正答率の低い問題から順に目を通していました。そうすると、教科が違っても落とし方が似ていることに気づきます。英語でも社会でも、資料を1枚はさんだとたんに正答率が下がるんです。生徒に「知識は足りている、資料と組み合わせる練習が足りていない」と伝えると、勉強の中身が変わりました。問題集を1冊増やすより、資料つきの問題の解き方を教科ごとに1つずつ確かめるほうが、模試の点は動きました。